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スペースシャトルの光と影【スミソニアン航空博物館別館にて】

Category : 博物館
スミソニアン・ウドバーヘイジーの入り口を入り、先回お見せしたブラックバードを見ながら真っ直ぐに進むと、ただならぬオーラを放った展示室がある。


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「ほら、こっちへ来いよ、いいもん見せてやるよ」とガイコツになったおじいちゃんが手招きしているような、そんな錯覚に陥る場所が向こう側にはある。


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そうここに展示してあるのはまぎれもなくホンモノのスペースシャトル、Discovery(ディスカバリー)だ。


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ディスカバリーは、5機造られた中で3番目のスペースシャトル(宇宙に行っていないエンタープライズ1機除く)。1984年に初めて打ち上げられ、2011年まで活躍した機体である。建造されたスペースシャトルを順に書くと、コロンビア、チャレンジャー、ディスカバリー、アトランティス、エンデバーである。ディスカバリーに至っては39回の飛行を行っており、最も長い時間宇宙に滞在した機体である。


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機体の表面をよく見てみると、下面のタイルは損傷し白い部分は焦げつき、つぎはぎだらけに見える。美しいスペースシャトルの白と黒のコントラストも、こう見るとなんだかくすんで見える。展示されている機体は補修を行っていないと思われるが、さすがに39回も地球と宇宙空間を行き来すればこれくらいボロボロになるのだということは容易に想像がついた。


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ジグソーパズルのピースをはめるように敷き詰められた黒いタイルは耐熱板である。地球への帰還の際、大気圏突入時に発生する熱から機体を守るためのものである。大気圏突入時、機体は最高温度1500℃の火の玉と化す。空気からの断熱圧縮を直接受ける胴体下面が最も熱くなるため、このように耐熱版が敷き詰められているのである。

帰還時に空中分解したコロンビアの事故は、このタイルの損傷が原因だった。タイルの損傷部分から熱が中に入り込み翼構造を壊したことが空中分解した直接の原因だとされている。打ち上げのときにタイルを損傷する事故は結構頻繁に起こってきたようだが、どの回も特に問題なく帰還しており、コロンビアの事故時もその損傷は軽視された可能性が高い。

そこにあるのは、「いつも問題ないから今回も問題がない。」という甘えの構造だろう。コロンビアの事故は、「不具合は帰納法的には解決しない」という事実を僕らに示してくれた。いつも問題がないことも、僅かな差で致命的な結果に転がり得るということである。「事故」と「無事」は紙一重、事故とは、初期値の微小な違いによって結果が大きく変わる実にカオティック(Chaotic)な事象なのである。


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機体の大きさに比べてギアが小さい。機体そのものは予想以上に大きかったが、車輪は予想以上に小さかった。機体が軽いのだろうか。この大きさならばもっと大きな車輪が付いていてもよさそうのなのに、意外にも小さくて驚いた。


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機首部には何だか「プシュー」と燃料ガスが吹きだしそうなノズルがある。このノズルは機体の至るところにあり、軌道周回中に姿勢を変えるのに使用している(と想像する)。スペースシャトルは飛行機の形をしているから、飛行機みたいに地球に腹を向けて、機首が進行方向になり、飛行機みたいに飛んでいるんだろう、という予測は大外れである。宇宙ではたとえ形が飛行機型であっても飛行機のように飛ぶ必要はない。軌道上ではどんな姿勢でも飛行できるのである。腹を進行方向に向けて飛ぶこともあれば、背面飛行していることだってあるだろう。要はミッションによって姿勢はまちまちなのである。(標準的な姿勢は必ずあるはずだが…。)


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後ろから見るとなかなか迫力がある。3つの大きなノズルが付いており、ここが飛行機とは大きく異なるところである。この3つのノズルはロケットを切り離した後に軌道まで持っていくための噴射ノズルである。

チャレンジャーの打ち上げ失敗の事故、コロンビアの空中分解事故、2つの大事故で5機中2機を失ったスペースシャトル計画。再使用可能な宇宙船という世界唯一の技術で宇宙開発に貢献したものの、10人以上の尊い命と莫大な金を失った。3機しか残らなかったスペースシャトルは、果たして成功だったのだろうか。もちろん、様々な実験をしたり、様々な衛星の修理を行ったり、宇宙ステーションに物資を輸送したりと、マルチなミッションをこなしたスペースシャトルの業績は称えられるべきでものである。しかし中にはコストに見合う業績を残したのかという批判が根強くあるようだ。

全機が引退してしまった今では過去のものとなってしまったが、スペースシャトルに笑顔で乗り込んでいく宇宙飛行士たちはどんな思いで自分の生命をスペースシャトルに託したのだろう。決まって聞かれるのは「不安はありません」、「地上クルーを信頼しています」という言葉だが、その裏に見え隠れするのは、5機中2機を事故で失ったスペースシャトルの安全性に疑問を感じながらも、勇ましく振る舞う宇宙飛行士たちの心の叫びだ。きっと心中穏やかではなく、「頼むから自分のミッションで事故ってくれるなよ」と念じながら宇宙に飛び立ったに違いない。いくら人格者とはいえ、恐怖心がないといったら嘘になるだろう。宇宙から笑顔で夢を語り、僕らに希望を与えてくれるテレビやツイッターで見るだけの宇宙飛行士たち。彼らに共通する「言わされている感」はどう頑張っても拭いきれない。

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