ANA背面飛行事故の真実

Category : 航空事故
昨年、那覇発羽田行きANAのB737-700(JA16AN)が
一時ほぼ背面飛行状態になった事故について、
昨日(8月31日)、国交省運輸安全委員会から経過報告が発表された。

JA16ANtop.png

↑報告書PDFファイルはこちら。

インターネットのニュースでは専ら、

・間違って操作したことを認知するのに時間が掛かった。
・姿勢を立て直す際に操縦桿の力を緩めた。
・力を緩めなければ背面飛行には至らなかった。
・社内の操縦訓練が適切だったかについて調査を進める。

と言った趣旨の内容が目立つ。

もちろん、それはそれで重要な内容である。
だが一つ、ニュースでは触れられていない事実がある。
僕はそこにも焦点を当てて欲しいと思っている。
この事故のそもそもの原因となった部分だ。

まず、この事故の要旨だが、
機長がトイレに行っている間、副操縦士が操縦していた(実際には自動操縦)。
機長がトイレから戻る際、コックピットのドアを開けようとノブを操作した。
しかし、間違えて別のノブ(ラダートリム)を回してしまった。
というものだ。
要するに、ドアを開けようと思ったら間違えて方向舵を動かしてしまった。
ということである。

ちなみにラダートリムとは、
エンジンが片発停止した際や、航空機のバランスが若干ズレているときに、
垂直尾翼にある方向舵の中立点を動かして方向のバランスを取るための装置である。
方向(ヨー)と傾き(ロール)は航空機の運動として独立ではないため、
方向舵を動かすことによっても機体が傾くという運動が発生する。

さて。
何故ノブを間違えてしまったのか?
僕はこの操作ミスの経緯が最も重要であると思っている。

報告書によると、事故が起きたのはB737-700であるが、
副操縦士はそれ以前に同-500型に乗っていた。
実はその-500型では、「ドアロックセレクター」と「ラダートリム」のノブの位置が、
-700型と前後逆になっていたのだ。

JA16AN.jpg

報告書では、「ドアロックセレクター」を操作することは
「国内線においてはその機会は非常に少ない」と述べている。
また「ラダートリム」についても、一日の初めに動作確認をするだけで、
毎フライト必ず操作するものではないことが示唆されている。

ここが重要なのだ。
共に操作頻度の少ないノブが、派生型の前機種と前後逆になっているということは、
間違いを引き起こし易いということなのだ。

副操縦士は、
「ラダートリムは一番後ろだったから、その1つ手間のノブを回せばいいんだな。」
と思ったのかも知れない。
真相は分からないが、この報告書を読む限り、
「前機種と混同してうっかり間違えてしまった」という可能性が捨て切れない。

もちろん報告書では「前機種と混同した」とか「うっかり間違えた」とは書いていない。
だが、この写真を見る限り、
「ドアロックセレクター」と「ラダートリム」の位置の変更は、
ヒューマンエラーを引き起こし易い設計変更だったと言わざるを得ない。

各社が報じているように、
誤操作に気付くのに何故時間が掛かったかを調べることは重要である。
航空会社の操縦訓練が適切だったかを調査することも重要である。
ただ、報道されている限りの内容ではないことは明らかである。

僕はこの事故の真相を知っている人間ではないので、これ以上の議論は避けるが、
「報道だけを鵜呑みにすると、議論の『方向』を誤ることがある。」
ということだけは言っておきたいと思う。


いつも見て頂きありがとうございます。
ポチっと押して頂けるとヤル気出ます。
にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村
スポンサーサイト









Comment

非公開コメント

サイト内検索
イケてる航空旅行研究所内の記事を検索できます。
カスタム検索
プロフィール

航空ブロガー

Author:航空ブロガー

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
Google+
GoogleAnalytics
サイト内検索
イケてる航空旅行研究所内の記事を検索できます。
カスタム検索