実は温度も正しくない飛行機

Category : その他
ガルフストリームでお勉強、第三弾は温度の話。

GalfObenkyou-04.jpg
温度を測るセンサーはここに付いている。


20121013-GALF-12.jpg
機首部下側に付いているピトー管よりずんぐりしたセンサーが温度を測るセンサーだ。
TATセンサーと呼ぶ。
こちらは右側。


20121013-GALF-05.jpg
こちらは左側。

TATとはTotal Air Tempertureの略で、日本語では「全温度」と呼ぶことが多い。
「全」が付くからには普通の温度とは何かが違っている。

先に答えを言ってしまうが、TATは普通の温度よりも高い。
普通の温度(外気温)に、速度を出していることによる温度上昇分が乗っている。

全温度はピトー管で測る全圧(総圧)によく似ており、
速く飛ぶと圧力が大きくなるように、速く飛ぶと温度も上がる。
その原理を使って大気の温度を測っている。
だから実際の外気温を計算する時には、
TATセンサーで測った温度から速度による温度上昇分を引いてやらなければいけない。

座席のモニタを見ていると、外気温-50℃などと表示されることがあるが、
あれはTATセンサーそのものの値を示しているわけではなく、
TATセンサーで測った温度から、速度によって上昇している分を減らして表示させているのだ。

映画「ハッピーフライト」の中でも、ピトー管が凍り、
「IAS DISAG」(速度がセンサ間で異なる)というメッセージが表示されるシーンがあったが、
あの時に計器画面に0℃と表示されていたのが、まさしくTATの値だ。

TATが0℃以下になると他のセンサーにも着氷する可能性がある。
もちろんピトー管などのセンサー類にはヒーターが埋め込まれているので、
普段は着氷することはないが、
ひとたびヒーターが故障すると、TATが0℃以下になったところで着氷が起こることがある。
ハッピーフライトではそこまでちゃんと考えられていた。
ヒーターが故障したピトー管が着氷し、速度が正しく計測できなくなったために、
「IAS DISAG」(速度がセンサ間で異なる)というメッセージが出たのである。

TATは普通の温度よりも高いとなれば、
TATが0℃なら外気温はもっと低いことになる。
マイナス10℃か、マイナス20℃か、正確な値は計算してみないと分からないが、
あのシーンの外気温は表示されていた0℃ではなく、0℃以下であることは確実である。

見方を変えてみると飛行機は速く飛んでいる分、温度で得をしているとも言える。
周りはすでに0℃以下だというのに、計測している温度は0℃以上だったりするからだ。
周りは凍るはずの温度でも、速く飛んでいるがゆえにまだ凍らないのである。

ちょっと過激な発言をしてみるが、
第一弾、第二弾で解説したように飛行機は高度も速度もデタラメだ。
ついには温度もデタラメだと言ってしまった…。

しかしどうだろう?
デタラメなものを測りつつもちゃんと飛んでいる飛行機は凄くないか?
デタラメなものをちゃんと使うルール、デタラメなものをちゃんと直す計算式、
それらでもって飛行機は今日も安全に空を飛んでいるのだ。
僕には飛行機のデタラメさ加減が、むしろ英知の結集のような気がしてならない。


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お世話になります。IVSテレビの荻野です。
日本テレビ鉄腕DASHを制作しており、TATセンサーの画像を
テレビ番組で使用させていただきたいと考えています。

画像をお貸しいただくことは可能でしょうか?

お返事お待ちしております。
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