アシアナ航空サンフランシスコでの着陸失敗事故の真実

Category : 航空事故
2013年7月、サンフランシスコ空港で起きた
アシアナ航空214便(機種:B777-200ER)の着陸失敗事故について、
米国NTSB(国家運輸安全委員会)の発表により、コックピットでどんな操作が行われ、
機体がどんな状態に陥ったのかが分かってきた。
ここに僕自身の調査結果を示したい。

以下に示すのはあくまでも独自の調査と独自の知識によるものであり、
公式な見解とは異なる可能性があることをまずはご理解頂きたい。

その前にNTBS作成の操縦アニメーション(YOUTUBE)を見て欲しい。
進人から墜落までの一連の操作と
オートパイロット(自動操縦装置)、オートスロットル(自動推力装置)の
モード遷移が分かるようになっている。
下記と照らし合わせながら、是非ともご覧頂きたい。

NTBS作成の操縦アニメーションはこちら


20140625_OZ214_VS_DES.png

アシアナ航空214便はRWY28L に向けて降下を開始していた。
通常実施されているILSアプローチは点検中で使用できなかった。
当初の降下経路は、通常の降下経路の上にいた。
オートパイロットの設定(縦)を昇降率モード(V/S)に入れ降下を行っていた。
ここまでは何ら違和感がない。

次に行われた操作が惨劇の始まりであった。

20140625_OZ214_FLCH_ON.png

高度1600ftまで降下したとき、突如高度変更(FLCH)ボタンが押された。
(FLCH:フライトレベル・チェンジ)
FLCHボタンが押されると、機体は高度窓値に設定してある高度まで上昇しようとする。
214便はゴーアラウンドに備え設定していた高度窓値3000ftへと上昇を始める動作をした。


20140625_777MCP.png

何故FLCHボタンが押されたのかは分からない。
隣にオートパイロットをディスエンゲージ(OFF)するボタンがあるので、
もしかしたらそれと間違えたのかも知れない。

前述の通り高度窓値を3000ftに設定していたため、FLCHボタンを押すと上昇に移る。
従ってスロットルレバーが前に出る。
しかし直後、パイロットは間違いに気付き、オートパイロットをディスエンゲージ(OFF)した。
そしてスロットルレバーをアイドルまで戻した。

オートパイロットをディスエンゲージ(OFF)すると、手動操縦になるため上昇は止まる。
そしてスロットルレバーをアイドルに戻したのは、
FLCHモードに入って増した推力を減じるためである。


この誤操作への対応が墜落への直接の事故原因となった。
高度変更モード(FLCH)とオートスロットルは連動していて、
FLCHボタンを押すと、オートスロットルはTHRモードと呼ばれるモードに入る。
このTHRモードが鬼門だった。

THRモードでは、スロットルレバーを手動で8度以上操作をすると、
HOLDモードと呼ばれるモードに入るように設計されている。
(パイロットがオーバーライドできる設計になっていると考えるのが妥当)

FLCHボタンを押し、オートスロットルはTHRモードに入ったのだが、
すぐにスロットルレバーを手動で戻したため(8度以上操作したため)、
オートスロットルはHOLDモードに入ってしまった。

HOLDモードとは、「基本的に」離陸時や降下時に入るモードで、
オートスロットルはエンゲージ(ON)されているものの、
レバーを動かすモータとは切り離され、手動でレバー位置を調節できるモードである。
離陸時には離陸中止に備えてスロットルレバーを自由にし、
降下時には推力を任意に調節できるようにと設計されたものである。

20140625_OZ214_manual.png

THRモードの時にスロットルレバーを手動で8度以上操作をすると、
HOLDモードと呼ばれるモードに入ることは、
上記の通り、マニュアルでも注意喚起がなされている。


20140625_OZ214_HOLD.png

話を戻すと、FLCHボタンが押されたため、上昇しようとスロットルレバーは前進したのだが、
直後に手動でスロットルレバーを動かしたため、HOLDモードに入ってしまった。
簡単に言えば、オートスロットルはエンゲージ(ON)されているものの、
速度を手動でコントロールするモードに入ってしまったということである。

当然、PFD(最も主要な計器)にはHOLDモードであることが表示されている。
しかしこれに気付かずに最後まで行ってしまった。
推力はアイドルに絞られたままでコントロールはされていない。
従って機体の速度はどんどんと低下していく。

そして気付いた時には手遅れだった。
接地直前、ゴーアラウンドを宜言しスロットルレバーを前進させているものの、
機体の反応は遅れるため、上昇するまでには至らなかった。

仮にFLCHボタンを押した後のスロットルレバー操作で、
オートスロットルがディスエンゲージ(OFF)されていれば、
音声や表示で何らかの注意喚起がされるため、速度に注意が向いた可能性が高いが、
HOLDモードに入り込みディスエンゲージ(OFF)されなかったため、
パイロットは「速度は制御されている」と信じ込んでいたものと思われる。
この勘違いが致命傷となった。


20140625_OZ214_CRASH.png


米国のNTSBは、

自動操縦システムへの過度な信頼と

複雑なシステムヘの不十分な理解が原因

と結論付けている。
僕も個人的にそう思う。
速度は着陸時には最も重要な計器表示である。
速度を見ずに着陸するなんてことなど有り得ないことなのである。

そもそも最終進入中にFLCHボタンを押していることが間違いなのだが、
その後、適切な回復操作ができずに事故に至っている。
人間は必ず間違いを起こす。
しかしその後の修正が大切なのだ。
この事故は、

誤操作を誤操作で修正して事故に至った典型的な事例

であると言えよう。
パイロットしての技量が疑われても当然である。

誤操作の内容がやや専門的なため、一般の報道では単なる操縦ミスとして片付けられているが、
調べてみると結構奥深いミスの連鎖になっていることが分かる。

僕はパイロットでもないし、調査官でもない。
従ってこれ以上の言及は避けるが、
上記の通り事故に至るまでの過程だけは述べさせてもらった。
自動操縦に関する背景知識がないと理解できない部分があるかも知れないが、
大体の雰囲気だけでも伝われば良いと思う。


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