ザ・ドキュメントMRJ初飛行【離陸編】

Category : MRJ
号外の速報版でも書いた通り、日本が誇るリージョナルジェット機MRJが初飛行を成功させた。2015年11月11日は歴史に残る航空記念日となった。

僕はその初飛行を見るべく、県営名古屋空港(以降、小牧と呼ぶ)に向かった。と言いたいところだが、やってきたのは名鉄小牧線の間内駅。そう、少し前から「空港へは来るな」なというお達しが出ていたので、少し外れた東側から見ようと考えたのだ。(本当の所はコーディネートしてくれた友人の言いなり)


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朝7時半、間内に到着。初飛行まで2時間もあったが、こんな時こそ不測の事態に備え時間に余裕をもって行動すべきだろう。


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間内駅から僕がやってきたのはこんな開けたところだ。小牧基地の北側にある畑である。


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反対側を見渡すとほら、こんな開けたところ。


地図で見るとすぐ分かる。小牧に一度でも来たことがある人ならば何となくイメージがつくであろう。

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さぁ、MRJ初飛行へのカウントダウン開始である。


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まず8時過ぎに飛んでいったのがこの機体であった。JAXAの「飛翔」(実験機)だ。無線を聞いているとどうやら天候調査のようだった。南に飛んでいったので初飛行も南へ飛んでいくと予想できた。


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朝のFDA出発便を使って練習開始。この位置からだと意外と高い。MRJも同サイズのため、これくらいの角度になるであろうことが想定された。


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続いてもう一機FDA。一つ前の写真と高度が違うのはこの機体がインターセクションディパーチャーで離陸しているところ(滑走路の途中から離陸すること)だ。まさかMRJがインターセクションで離陸するはずがなく、「こんな角度だったらいいのになぁ」と思ってもそれは無理な希望であった。理由は簡単、滑走路は長ければ長いほど安全だからである。


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航空自衛隊のC-130Hが上がった。こんなに大きな機体で、緩やかな離陸だったらなぁなんて思っても、それはFDAのインターセクションディパーチャー同様、叶わない希望である。

そしていよいよである。報道ヘリが上がり、チェイサーが上がる。9時前にはU-Stream中継が始まり9時頃ドアクローズ、そしてエンジンがスタートした。基本的にはエアバンド(航空無線)、U-Stream中継、そしてTwitterで情報を得た。月刊エアラインのツイートがとても的確で役に立った。無線を聞いていても、公の周波数ではエンジンスタートなどの内容は分からないため、Twitterはとても役に立った。一方でTwitterや無線ではMRJの現在位置がイマイチ分からない。だからそれはU-Streamに頼った。僕らは素晴らしいデジタル時代を生きているものだ。MRJの現在位置はU-Stream中継を使い、エンジンスタートなどのイベントはTwitterと使うといったように用途によって情報ソースを分けることにより、場内が見えなくても的確に把握することが出来るのだ。


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チェイサーと思しきMU-300(JA78MA)が離陸して行った。この機体は現在ではホーカー400とかビーチジェット400と呼ぶが、元々は三菱重工が開発した国産旅客機MU-300である。どうやらチェイサーも三菱勢で固めるようである。(以降、MU-300と記)


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そして次も同じくMU-300(JA30DA)が上がった。こちらは無重量実験用の機体である。Flying Laboratoryと機体にペイントしてあるのが読み取れるだろう。旋回シーンを撮ったら青空をバックに美しい空撮のような絵になった。


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離陸直前の撮影ポイントの様子はこんな感じだ。この撮影ポイントでのギャラリーは軽く500人を超えると思っていたが、ざっと見渡しても50人程度。若干拍子抜けであった。このポイントは朝は順光の環境なので、報道陣のいるターミナルビル側と比べても条件は良いはずである。なのにこの人の少なさは何だかもったいない気がした。しかし撮る方としては人が少ない方が都合が良い。いい場所を見つけたもんである。


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滑走路の反対側の遠くの方にレンズを向けると皆、思い思いの場所から狙っている。遠くに行くほど障害物が相対的に低くなり、飛行機も腹ばいにならずに済むが、僕のレンズは270㎜なのでそこまで遠くに行く自信がなかった。


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こちらが滑走路側。左側から中央の建物が邪魔だが、離陸上昇はバッチリ撮れそうだ。自ずと気合が入った。


ちょうど9時半に離陸許可が出た。コールサインは機体番号そのままだ。「JA21MJ」(ジュリエットアルファトゥーワンマイクジュリエット)。「Cleared for Takeoff」 (離陸を許可する)との交信に、にわかに緊張が高まった。

U-Stream中継が離陸直前に繋がらなくなった。アクセスがピークに達して処理できなくなったのだ。あれだけU-Streamで見てくれと言っておきながら、一番見たいシーンで繋がらなくなったら意味がないではないか。ただ、それがデジタルメディアの弱いところである。こんな時現場にいると、たとえ機体が見えなくても、チェイサーの位置などから最低限の状況がわかるからいい。やはり現場には勝てないのである。

離陸許可が出たからと言って、すぐに離陸するわけではない。チェイサーが自機の後ろに来た時点でタイミングを合わせて離陸を行う。これをエアボーンピックアップというのだが、エアボーンピックアップのタイミングはチェイサーの動きを観察するしか知る術がない。途切れるU-Stream中継とチェイサーの位置で離陸のタイミングを図った。


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東の方でホールディングしていたチェイサーが大きなベースレグを回って、滑走路の南から進入する。あと90度旋回すればRWY34の直線上に乗る。チェイサーはどうやら3機体制のようだ。MU-300が2機離陸して行ったが、残りの1機は何なのだろうか。


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来た!建物の向こうから一見黒く見える機体が上がってきた。MRJだ。僕は夢中になって機体を追いかけた。


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予想以上に離陸位置が浅い。つまり高度が高い。


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僕は必死でシャッターを切った。やや後ろから光が当たっているが順光だ。美しい。MRJは実に美しい飛行機だった。


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ちょうど僕の真横を通過した。引き続きシャッターを切りまくる。これ程興奮してシャッターを切ったことがかつてあっただろうか。


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どんどん高度を上げていくMRJ。真横を過ぎたあたりから僕の270㎜じゃ届かなくなってきた。この位置は僕のレンズでの限界位置であった。


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脚(車輪)は上げたままだ。格納してしまうと、万が一出なくなったら困るからである。初飛行ではギアを出したまま飛ぶのが伝統的であり、2回目以降のフライトで脚の格納試験を行うのが一般的である。


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どんどん遠くなる機体。僕はまだこの時点でチェイサーが張り付ていることに気が付いていなかった。いや、チェイサーがいるのはもちろん知っていたが、ファインダーギリギリでMRJを捉えようとしていたため、チェイサーがファインダーの中に入らなかったのである。


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少しレンズを引いてみた。そしたら隣を飛んでいたのはKawasaki T-4であった。Mitsubishi MRJのNo.1チェイサーがKawasaki T-4。実に面白い組み合わせだ。まさに日本を代表する航空機メーカーのツーショットである。その他2機のチェイサーMU-300と合わせ、全てが国産機での初飛行だ。

2機のMU-300は後ろからゆっくりついてきていた。MRJの上昇に間に合っていない感じがした。一方のT-4は片時も離れずMRJの隣で見守っていた。頼もしい光景だった。

はて、何故チェイサーがT-4なのだろう。T-4は自衛隊の練習機だ。民間機の初飛行に直接関係はない。理由は完全に推測だが、やはり自衛隊機は編隊飛行に慣れている、というのが一番の理由であろう。そして今回のパイロットは空自出身の方である。T-4の方がコーディネーションを取りやすいというのも想像できる。もっと言ってしまえば初飛行という大舞台をチェイス出来る機体が恐らくT-4以外にないのだ。思えば、先に開発が進んでいる航空自衛隊の輸送機XC-2のチェイスをやっているのはいつもT-4である。T-4にとってチェイスのお仕事など朝飯前なのだ。


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随分と上昇したところで右旋回。南へと進路を変えていった。

MRJは感動的な離陸を見せてくれた。思ったより機体は大きくて、それでいてエンジン音は静かだった。かくしてMRJは初飛行を成功させたのだ。

おめでとう、MRJ!

次回は着陸編をお送りする予定だ。



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